産山社子屋

自然科学

自然科学といいますと物理学から始まって、化学や生物学、地球科学、果ては宇宙までと様々な分野に及ぶ学問でございまして。
なんだか小難しくてとっつきにくそうだなと思ってたんですが、自然を〝ともだち〟と捉えて接すると、意外とすんなり仲良くなれそうな気がするのです。

〝産山〟と〝自然〟と言や、切り離しては語ることはできません。
しかし産山におりますと、自然が身近にありすぎて、改めて意識することがなくなってくるッつうんですから。
冗談だろうって? いやこれが本当なんですよ。ホラ、東京に住んでる人は東京タワーに行かないって言うでしょう?
ですから今回は、自然について改めて深く知ってみようじゃありませんかということで、題して「自然はともだち」。
自然の中で遊びながら、我々人間との共生について学んでまいります。

髪に白いものが混じるようになって幾年か。ワタクシが子供の頃は、箱マッチをポケットに忍ばせて野山を駆け巡ったものです。
最近じゃ住宅もオール電化なンつって、ガスコンロはIHクッキングヒーターに成り代わり、暖をとるのもエアコンと、家の中で火を使うことがすっかりなくなってしまいました。
都会生まれのお子さんなんかは、生まれてこのかた、火を見たこともないッて子がいるとかいないとか。
そんなお子さんが、そろそろ大人になって、親になるッてんですから。この機会に親子ともども、自然について改めて知識を深めていきましょう。

第2回産山社子屋【自然科学】

「自然はともだち」~種の不思議~

日時:2016年11月28日
講師:井 春夫さん(阿蘇自然塾代表)
草木のタネを使った工作やためになるトリビア

今回の講師である井 春夫さんは、長年、各地で森林環境教育に取り組んできた〝自然遊びの達人〟です。
そんな春夫さんの少年時代は、ポケットに肥後の守を忍ばせ、産山の野山を駆け巡り、遊びの道具を自分で作り出して遊んでいたそうです。
肥後の守(ひごのかみ)とは、折りたたみ式の和製ナイフのこと。
現代では、子どもが危険なナイフを持ち歩くなんて考えにくいことですが、当時は怪我をしながら刃物の危険性や使い方を覚えたと言います。
痛みを感じるからこそ、こんどは怪我をしないようにと気をつけるようになる。これこそが体験であり、学びであると春夫さん。

1)聞いたことは忘れる。
2)見たことは思い出す。
3)体験したことは理解する。
4)発見したことは身につく。

子どもたちだけでなく私たち大人にとっても大切なことです。参加者の皆さんたちも深く頷いて春夫さんのお話に聞き入っていました。
後半は草木のタネについてのお話。タネの様々な散布法、またそれがグライダーやマジックテープの発明の元になっていたなど、まさに「話の種になるタネの話」に驚き。
実際に紙やクリップなどを使って空飛ぶ種を工作し、実際に飛ばします。子どもはもちろん、大人も夢中になって遊び、学んだ一日でした。

INTERVIEW講師インタビュー

現在の「阿蘇自然塾」の活動を始められたきっかけは?

奄美大島の営林署にいた頃、小学校の森林教室を依頼されたのが始まりですかね。そこから色々な任地においても小中学校を中心に森林環境教育を実践してきました。
2011年3月の定年退職を機に、故郷である産山へ帰ってきました。今までやってきたことを、故郷でも続けているということです。

森林教室とは、具体的にどういうことをやるんですか?

今回同様、草木を使ったネイチャークラフトをやったり、ハチや毒蛇、有害植物など危険への対処法を学んだりですね。
木登りやゲームもやるし、ピザやバウムクーヘンを作ったりもします。とにかく、なんでも実際に体験することが大事なんです。
ですが、無理やりやらせても意味がない。子どもたちが自分で率先して、楽しんでやれるように導いてあげないといけません。
強烈に印象に残る体験というのは、大人になってもずっと忘れないものです。
失敗したっていいんです。自分で作ったものなら、焦げて真っ黒になったピザでもみんな喜んで食べてますよ(笑)

春夫さんは定年までの約30年間を都会で過ごされましたが、やはり故郷に戻ってこれた喜びは大きいですよね。

東京で暮らしていても、やはり子供の頃の体験がずっと忘れられなかったですね。それをもう一度やれるというのは大きな喜びですね。
それと、少しでも故郷を活性化させるための活動ができるというのもあります。もちろん私ひとりの力ではどうにもならないんですけど、皆さんの協力を得て少しずつですね。ホタルを昔のように増やそうとか。
今取り組んでいるのは、産山の景観づくり。サクラとかヒガンバナをたくさん植えているところです。時間はかかりますけどね。故郷のために腰を据えてじっくりやりますよ。

次の世代に継ぐためのものなんですね。

林業の研究者なんて哀れなもんですよ(笑)自分の研究の成果が現れるのは三世代くらい先ですからね。
例えば孟宗竹が枯れるのには76年かかるという話があって、それはまだ1回しか検証してない。76年で1回枯れたという記録しかない。
これが本当かどうかもう一度検証しようとなると、結果がわかるのは76年先なんです。ちゃんとした研究の成果にするには3回検証しないといけない。そうなるともう200年以上かかってしまうんですね。品種改良をやるにしても、最低でも20年とか、長い年月が必要になる。サクラの新たな品種を作るにしても、花を咲かせるまで最低10年はかかるんですよ。

気が遠くなる話です…

だからまぁ、私がやっている森林環境教育の方が成果は早く見られるんですよね(笑)相手は樹木じゃなくて人間ですから。
ひとりひとりが自然を知って、自然とともだちになれば、いつの日か必ず良好な自然環境が蘇ることを信じています。

井 春夫 さん
産山村在住「阿蘇自然塾」代表
長年にわたり東京や千葉など、各地で子供達の森林環境教育に取り組む。
産山村 - 神様だってうまれちゃう!? 今日も何かが産まれている。
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