がまだす堂の巻
手作りです、料理もイスも食堂も。
池山水源の人気食堂。
ご主人の姜さんの前職は貿易業。海外情勢に詳しい。奥さんのゆかりさんは関東で働いていた。たまたま2年前に産山村に二人で観光に。訪れたのは池山水源。その時、水源の入口に建つ小さな店に目がとまる。「こんなに素晴らしい場所に店が!最高の立地」と姜さん。「でもオンボロ。まるで蜘蛛の巣屋敷!」とゆかりさん。見方は違うが、この一軒家に二人は心を奪われた。


その時に偶然、韓国からツアーバスで多数の観光客が水源を訪れていた。姜さんは添乗員に思いを伝える。「もしも私がここで食堂を開いたら、あなたのツアー会社は立ち寄ってくれますか」。添乗員はズバリ、「ここは産山観光では外せない場所。必ず寄ります」との解答だった。
それからは早かった。村の公募にエントリーし、空き家をカフェ・食堂へと改修することを提案。事業者として選ばれた。わずか20日間でインテリアを新装し、キッチンを改良し、トイレを最新の洋式に変えた。テーブルやイスも自ら作った。2015年の7月、夏休みを前に店舗をオープン。店名は、熊本弁の「がんばる。精を出す」の意の「がまだす堂」に。現在では1日にバス数台が訪れ、繁忙時は100人もの客が飲食する人気店になった。



「畑で採れた野菜を持ってきてくれたり、今日はバスが10台も来たねと教えてくれたり、まわりの方は本当に温かい。 調理に薪割り、小屋の修繕とやることも多いが、静かな山の暮らしがあります。産山が大好き」と姜さん。 「コンビニひとつない場所。産山村は信号もない。でも今は、そこが良いと気づきました」とゆかりさん。 二人の手作り食堂「がまだす堂」は日々改修を重ね、心地よさを高めている。

記者余談 :
2016年にはトリップアドバイザーの日本名水ランキング第1位を獲得。地震もあったが、水源は変わらずに湧き続け、多くの観光客を迎え入れている。店内にはアンティーク時計がズラリ。水源で煎れたコーヒーを飲みながら、リラックスできます。可愛いヤギたちもお出迎え。