産山社子屋

社会科学

「社会科学」ってのは百科事典をひいてみますと、「社会における人間行動を科学的、体系的に研究する経験科学の総称」とあります。
要は政治学や法律学、経済学から始まって、教育学や歴史学、民族学なんかもひっくるめた研究のことだそうでございます。
まことに不勉強、無教養でお恥ずかしいのですが、正直言ってワタクシ、ピンときておりません。

今回のうぶやま社子屋は、「ホテルコンシェルジュから学ぶ上質な気くばり」。
さて、一流のホテルコンシェルジュからどのようなお話が聞けるんでしょうかね?

今回の講師である角田陽子先生は、銀座、赤坂、渋谷の一流ホテルを渡り歩いたコンシェルジュだそうで。
なるほど東京の中心部にあるホテルといや、その場所柄、世界中のあちらこちらから人種も様々、さぞやいろいろな人がやってくるんでしょうな。
ハリウッドの俳優さんだの、アラブの王様だの、一癖も二癖もありそうな強者たちと接してきたという先生による「おもてなしの極意」とは?

第7回産山社子屋【社会科学】

ホテルコンシェルジュから学ぶ上質な気くばり

日時:2017年3月28日
講師:角田 陽子さん
名門ホテルのコンシェルジュとしてご活躍されてきた角田さんの、おもてなし&マナー講座。

ご出身は産山村のお隣、大分という角田先生。阿蘇は幼少の頃から何度も訪れたことのあるお気に入りの場所だそう。
ご挨拶もそこそこにお土産のお菓子を振る舞われる先生。そのホンワカとした雰囲気もあって参加者の皆さんもリラックスしています。
「マナー講座」というと、「そのやり方は間違っている!」「それはダメ!」「これもダメ!」と、怒られっぱなしで緊張感が漂っているものだと思っていたのですが……。
「毎日を楽しく、常にワクワクすることを考えて、やりたいことはなんでもやりましょう」という角田先生。
自分の人生なんだから、人の目なんて気にしなくていい。やりたいことは、人を不幸にすること以外はなんでもやっていい。その大前提を踏まえた上で、自由に、周囲の人と楽しく生きていくために必要なもの、それがマナーだとおっしゃいます。だから角田先生のお話はすべてポジティブ。
「これからの時代、都市と地方、国内と海外という差はなくなってくる。その時にもマナーや英会話は強い武器になります」

ショートケーキのイチゴのスマートな食べ方や、スーツのボタンを留める時のさりげない仕草を格好良くする秘訣など、簡単ですぐに実践したくなるようなマナーを教えてくださいました。
やはりここでもポジティブな角田先生は、「こうした方がかっこいい」「こうしたら素敵」というアプローチ。
実際に、スーツ姿で参加している男性方が、先生のご指導でみなさんに披露すると拍手とどよめきが自然に起こります。なるほど確かに素敵。明日からモテそうです。

「お仕事中に困ったエピソードは?」という参加者からの質問には、
中東の大富豪のお客さんが、お世話係や専属の料理人、果てはダンサーや「水たばこ係」まで、総勢数百人のお供を連れてやってきた時のエピソードを披露。
酔っ払ったダンサーが部屋の中で大暴れしたり、料理人が客室の小さなキッチンで羊の肉を豪快に焼いて異臭騒ぎになったり。

さらには「ラーメンが食べたい」という要求を受け、豚肉が食べられない中東の人のために東京中を駆け回り、どうにか豚肉や豚骨を使っていないラーメンを探し出したというドタバタ劇に発展したとのこと。
そんな大変な思いをしても「お客様が喜んでくだされば満足」という角田先生。さすがおもてなしの達人です。
時間いっぱいまで笑顔の絶えない講座でした。講座の後の記念撮影で角田先生は、「話し足りなかったので、また産山に参ります」と約束してくださいました。

INTERVIEW講師インタビュー

今のお仕事に就いた経緯を教えていただけますか?

コンシェルジュの仕事についたのは四半世紀くらい(笑)前になります。
私が入社した赤坂プリンスホテルといえば、当時は女子大生の憧れの的でした。日常的に芸能人や政治家がロビーを闊歩していて、とても華やかでした。
私はコンシェルジュという職業を知らなかったんですけど、フロント業務に就いていた私は、ロビーで女性の先輩が外国人のお客様と楽しそうに接しているのを見て、その時初めて「コンシェルジュ」というセクションを知ったんです。
「私もコンシェルジュになりたい!」と思って、上司に手紙を書いて直談判したんです。それからしばらく経って、運良く欠員が出たんですね。それが始まりです。

やりがいを感じるのはどういう時ですか?

やはり私が何かお手伝いをしたことで、お客さまが喜んでくださった、ハッピーになってくださった、そういう時ですね。そのためにやってます。

逆にイヤになることはないですか? 辞めたいと思ったり。

無茶な要求をされることもあるんですけど、コンシェルジュって、お客さまのためにチャレンジして、「ニーズに応える」のがお仕事なんですね。ですので嫌になることはないですね。辞めたいと思ったこともありません。
……まぁ、感じの悪い方と言いますか、横柄な態度で私たちに接してくる方はたま~にいらっしゃって、嫌だなと思うことはありますけどね(笑)

「チクショー、ふざけんなあの野郎!」って感じですか?(笑)

(苦笑)そういう表現はしませんけども……、まぁ、それに近い感情は……、ないとも言い切れません(笑)まぁいろんな方がいらっしゃいますから。
でも、いいお客さまばっかりだと、いいお客さまのありがたさもわかりませんしね。たまに嫌な人に会うと、私が普段いかに周囲の人に恵まれているか、再認識できますから(笑)発想の転換ですね。

コンシェルジュのお仕事=気くばり、という感じですけど、ストレスは感じませんか?

気くばりは「仕事」ではなく「生活」ですね。仕事の間だけ気くばりを頑張ろう、という人にコンシェルジュの仕事は難しいと思います。
やっぱり表面だけ取り繕っても、心がこもっていないのは相手に伝わってしまうんですよね。

コンシェルジュに興味を持つ若い人もいると思うのですが、このお仕事に向いている人というのは、どのような人ですか?

四六時中コンシェルジュでいることにストレスを感じない人、ですかね。
「コンシェルジュという仕事」ができる人、というよりは、「コンシェルジュという生き方」ができる。そんな人が向いていると思います。

角田 陽子 (すみだ ようこ)さん
大分県大分市出身。明治学院大学英文科卒。
赤坂プリンスホテル、ホテル西洋銀座、マンダリンオリエンタル東京勤務を経て現在セルリアンタワー東急ホテルコンシェルジュ。
武蔵野大学客員講師。NPO法人大分人祭り副理事長。日本コンシェルジュ協会会員。元レ・クレドールインターナショナル会員。
著書『名門ホテルコンシェルジュの心をつかむ上質な気くばり』
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