産山社子屋

経営経済IT

「経営経済」とはなんぞや?
仕事を提供したり受け取ったり、その対価を頂戴したり支払ったりという流れ、これが「経済」。そしてその仕事を通じて世に貢献することが「経営」ってことになるんでしょうかね。
都会には大きな会社もたくさんありますが、田舎には田舎の、産山には産山の経営経済がございます。

うぶやま社子屋【経営経済IT】の巻は、「田舎ビジネス道場」でございます。
さて、田舎とビジネスをどう結びつけ、それがどのような経済の流れを生むのでしょうか?

「経営」「経済」「IT」と、数字やコンピューターに疎いワタクシにとって苦手な言葉が並びます。
しかもここは産山村。見てくださいよ、広大な草原で放牧される牛たちと美しい棚田。
ここで経営? 経済? IT? ほらワタクシだけじゃありませんよ、村人たちもキョトンとしてるじゃありませんか。
いや百歩譲って経営はわかります。産山に馴染み深い農業も畜産も経営ですから。経済の流れもちゃんとございます。
しかしITってのはどう考えてもこの田舎には似つかわしくないっていうか、相性がいいとは思えないんですがねぇ……
どれ、お話しをお聞きしましょうか。

第1回産山社子屋【経営経済IT】

田舎ビジネス道場

日時:2017年2月24日
講師:佐浦有節さん
阿蘇の起業家や経営に興味のある人が集まって勉強会。家業を事業に変える生産性の向上とは。

未来の産山を担う若手農家の皆さんが続々と会場に集まります。
農家に生まれ育ち、既に農業に従事されている彼らが、改めて何を勉強するのでしょうか。
実は産山村には、都会では決して手に入れることのできないお宝が眠っているのです。ところが産山村で生まれ育った彼らにとって、手付かずの自然がそのまま残っていることは当たり前のこと。そんなものを欲しがる人がどこかにいるなんて想像もしていないのです。

村の水源から毎分30トンの勢いで湧き出ている美味しい水は、家の蛇口をひねれば出てきます。もちろん都会にはそんなものありませんから、わざわざお店に行って、お金を払ってペットボトル入りの水を買うわけです。

産山にあって都会にないもの。これは商品になるのです。しかし参加者の皆さんは農家なので、商品を直接お客さんに売るということをやったことがありません。商品を買ってもらうにはどうすればいいのか? どこで売れば? どうやって宣伝すれば? インターネットを使う? そもそも産山村って?「マネジメント」と「マーケティング」についてみんなで考えます。こうしてみんなで集まって、考えて話し合って、知識や知恵を共有することで、産山で新しいビジネスが産まれる可能性が大きく膨らむんです。

また多くの農家が陥りがちな「時間がない、人がいない、収入が増えない」状況から脱するためには「考え方」と持っている「知識」を変えて行動することが大事だと、講師の佐浦さんはおっしゃいます。

実した内容を学びました。また、自分のビジネスを誰にでもわかりやすく60秒で説明するフレームワークで、お互いにミニプレゼンを行いました。

うぶやま社子屋「田舎ビジネス道場」は今後も継続して行われます。産山発信の新しいブランドが全国を席捲する日も遠くないかもしれません。

INTERVIEW講師インタビュー

佐浦さんはいろいろなことをなさっているようですが、メインのお仕事は経営コンサルタントですか?

そうですね、経営者の方から相談を受けることが多いと言いますか。それがいつの間にか仕事になっていたという感じなんですけど。
元は宝石商だったんです。催事で販売したり、デザインもやりました。
人と会うのが好きで、たまにすごい才能の持ち主と出会うことがある。そういう出会いがあると、その人の才能を活かしたくなる。プロデューサー気質なんですかね。
コンサルタントというと、数字がどうとかそういうイメージですけど。私がやってるのは「ここをこうすれば良くなる」「ここにこういう人を配置しよう」という提案が主ですね。「プロデュース」という方が的確かもしれません。

産山村へ移住されてから、今のお仕事を始められたのですか?

そうですね。産山村へ移住しようという話になった時に何をやろうかと思って、地方ならやっぱり観光だろうと。
父が旅行好きで、いろいろな場所に連れて行ってもらったというのもベースにあって。神社とか仏閣とか、歴史ある旅館の古い建物とかそういうのが大好きなんです。
そういうものに関わる仕事をやりたいなと思って求人を見ていたら、たまたまあったんですね(笑)旅館の事業再生コンサルタントの会社が。
まぁ簡単な仕事ではないだろうし、覚悟も必要だったんですけど、とにかく面白そうだと思って飛びつきました。
思った通り大変な仕事だったんですけど、いきなり金沢の老舗旅館の支配人を経験したりとか、かなりメチャクチャな経験をさせてもらいました。
もう潰れかけの旅館なんです。飛び込むところって。完全にやる気を失っている従業員がいて、勤続何十年というベテランの人もいる。そんな士気のないところに急に「支配人です」ってやってきた私の言うことなんて聞いてくれないんです。それでもどうにか食らいついて。
経営を立て直すために、海外から積極的にお客さんを呼び込もうってことになったんですけど、そうなった時に、意外と日本人が日本のことを知らないなと感じたんです。

と、言いますと?

例えば、お正月には初詣に行きますよね。でもどうして初詣に行くのか、聞かれてちゃんと答えられる人って案外少ないんですよ。
日本人のアイデンティティが失われつつあるんだなと感じました。ただ、機会さえあれば、自分の国のことを学びたいと思う人はたくさんいると思うんです。

それで「社子屋」をやろうと思ったんですね?

日本文化を理解してもらうだけじゃなくて、昔の遊びだったり、何かを作るというワークも取り入れて、参加者同士が楽しく交流できればなと。
そういう場をつくるといのもプロデュースの仕事ですよね。

移住先に産山村を選んだのは何故ですか?

父が亡くなる一年前に、一緒に九州へ旅行に行ったんです。僕はその時始めて九州を訪れたんですが、鹿児島からずっと北上して、湯布院だとかいろんな場所を見て回って。
阿蘇を通った時にものすごく印象に残った素晴らしい景色があった。それが産山村だったんです。いつか結婚したら、自分の妻となる人をこういうところへ連れて来たいなぁと。
その後、東京である女性を紹介されて。それが今の妻なんですけど、なんと彼女の実家が産山村だって言うんです。
話せば長くなるんですけど、妻と知り合ったのもいろいろと不思議なご縁があって。なんというか、運命に導かれた感じですね、産山へ(笑)

田舎の暮らしにはすぐ馴染めました? 都会が恋しくなったり?

いつかこういうところで暮らしたいなとはずっと思っていたんで、東京に帰りたいとは全然思わないですね。
後悔はないです。むしろここにいる方が自分のやりたい仕事はどんどん進んでる感じがします。なんというか、変な邪魔が入らないというか(笑)
日が暮れればシーンと静かになる。朝は自然と早く目が覚める。朝4時に起きて、夜9時には寝ちゃいます。

今後の展望は?

阿蘇の大自然に抱かれて暮らしていて思うんですけど、神道って、ある一つのものを信じるのではなく、自然現象だったりモノだったり、あらゆるものに神が宿るっていう考え方ですよね。自分が信じたものが自分の神様であると。
唯一神じゃないから争いが起らない。信じるものが違ってもお互いを尊重することができる。これはすごい文化だと思うんですね。
こういうアイデンティティを自分たちの世代で取り戻したいんです。そのためにもこの「社子屋」のような取り組みを続けていきたいと思っています。

佐浦 有節 さん
経営コンサルタント KATARIBE Japan代表
東京都世田谷区出身
2年半前に産山村の大自然に魅了され東京より移住した元宝石商。現在、地方のための"価値を贈る地域発信型観光"づくりを、ICTやマーケティングの観点からあらゆる形で支援している。
https://www.facebook.com/kataribejapan/
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