産山水魚園の巻
「いけす」の上に建てられている!
なんとも魚天国。
「我が輩は猫である。食事に困ったことはない」というような満足顔で眠る猫たちを入口に確認。水魚園さんに来訪を告げる。実にストレートな店名だが、訪れれば、合点がいく。「いけす」にはヤマメやニジマスが泳ぎ、水面上に浮かび上がるように食事棟が建つ、まさに「水魚の園」。訪れたのは、雪がちらつくような真冬だったが、窓から眺める魚たちの健康状態よろしく、その活発さに、写真を撮るのも一苦労した次第。
そう、ここは敷地一杯に張り巡らされた「いけす」で育てた川魚を、多彩な料理で食べられる店。「いけす」の数が多いから、釣り堀にも見えるが、すべては健康でピチピチの川魚を育てるため。こだわりの川魚専門料理店なのだ。水は、山吹水源の流れを汲む名水。天然のミネラルウォーターで育った川魚を、これでもかというほど提供する店なのだ。
「産山は阿蘇の中でも田舎風情の強い地域ですが、中でもここは秘境。10軒が集まった小さな集落です」というご主人が持ってきた定食に驚いた。これぞ「川魚づくし」。しかも、すべての身が大ぶり。名物のヤマメの唐揚げは、2〜3匹付け。頭から尻尾まで食べられ、これを味わうがために福岡から来る人もいるというのも頷ける。おそるべし、産山の田舎。過剰すぎるサービス定食である。
ニジマスの刺身の歯ごたえは、「わざわざ山奥まで来た甲斐があった」と実感する。塩焼きは最低でも100g以上とビッグサイズ。今までスーパーで見てきた川魚が、「あれは小魚だったのだ」と感じるほど。塩加減も最適で、キビ入りの白米がすすむ、すすむ。魚料理3種の他に、アラの味噌汁、ご飯、惣菜、漬け物が付いて1,500円!「うちはファミリーレストランのようには出せません」と謙虚にご主人は言うが、味・量・鮮度でファミレスに圧勝である。山吹水源の観光と合わせて、必ず立ち寄ってみたいお店。「いけす」に泳ぐ魚を見ながらの食事は、子どもたちも大喜び間違いなし。
記者余談 :
店にいる猫たち、料理の残り物や、魚の頭をもらって育ったのか、皆丸々と肥えていました。「たまにエサをやり忘れると、魚をすくい取って食べてしまう」とのこと。猫好きの私としては、そんなシーンを見てみたいと思ってしまうのでした。