民宿・農家レストラン 山の里の巻
牛は、草でつくる。
これぞ、あか牛。 農家レストラン。
「噛めば噛むほど旨味が広がる。昔ながらの牛肉の味がする」とリピーターが通う店。それが農家レストラン 山の里。文字通りこの店は、「あか牛農家」が経営するレストラン。二代目の井博明さんに連れられて牧舎を訪ねると、80頭ものあか牛が飼育されていた。草を食べる音が牧舎には響く、牛の健康を一番に考えた牧舎が素晴らしい。
牛づくりは、草づくり。あか牛たちが喜んで食べる牧草を、どれだけ作れるかが腕の見せどころ。「食いが悪いな、という草は、雨に当ててしまったり、生育が悪かったりと必ず理由があるのです」と博明さん。トウモロコシや農耕飼料を多給するとサシが入りすぎてしまい、本来のあか牛の旨味が出ないとのこと。
牧草には、徹底的にこだわる。親子牛は220haもの山野に放牧し、歩かせて牧草を食べさせる。ちなみにあか牛は放牧地で1日30~40kgもの野草・牧草を食べ、3~6kmも歩くという。この運動量が赤身の旨さになっている。12カ月~24カ月の月齢に成長した牛は、ロール牧草を主体に牧舎で育てる。そのために60haの牧草採草地を自ら管理し、年3回の牧草サイレージをつくる。「草づくり」はなんとも手のかかる仕事なのだ。
冬場は堆肥と有機肥料で地力を蓄え、春には「野焼き」を行い、雑木の繁殖を抑えて、新芽を促す。もちろん飼料には、抗生物資やビタミン剤、ホルモン剤は一切投与しない。こうして約2年かけて、800kgものあか牛が仕上がる。
「牛は工業品じゃない。モノではなく、生き物として育てる」と博明さん。「店でも宿でも、自家牧場のあか牛を出しているから、こだわりをお客様に説明できるんです」と女将さん。そのこだわりのあか牛の焼肉をお店で、ありがたくいただいた。溶岩プレートの上で焼かれた肉は、赤身でも柔らかくジューシー。旨味が凝縮した濃い味。結構なボリュームなのだが、ぺろりと食べられてしまうのが不思議。「これぞ、あか牛」のなせる特長なのだ。
記者余談 :
あか牛と一緒に提供される自家製お漬け物のボリュームもすごい。小皿で12品目も! ちなみに市内にも2号店があり、こちらでも最高のあか牛を食べられます!